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宮本文昭の名曲斬り込み隊  新刊

宮本文昭の名曲斬り込み隊

オーボエ・ソリストを引退後、指揮者活動にも力を注ぐ宮本文昭が、珠玉の8曲を厳選し、縦横無尽に斬り込む!

著者 宮本 文昭
ジャンル 芸術 > 音楽
出版年月日 2009/11/09
ISBN 9784772704816
判型・ページ数 4-6・272ページ
定価 本体1,500円+税
在庫 在庫あり
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目次

★本書の構成(本書で“斬り込む”楽曲)
第1章 モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136
第2章 チャイコフスキー:交響曲第5番
第3章 ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
第4章 モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
第5章 ブラームス:交響曲第1番
第6章 リムスキー=コルサコフ:《シェヘラザード》
第7章 マーラー:交響曲第9番
第8章 ブルックナー:交響曲第8番
[特別対談] 矢部達哉&宮本文昭

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内容説明

チャイ5と総力戦!
《エロイカ》と一騎打ち!!
マラ9に奇襲!!!
ブル8に籠城!?

ブルックナーやブラームスのレコードを繰り返し聞きまくった青春時代のこと、
オーボエ奏者として、オケマンとして世界の第一線で活躍してきた体験、
そして現在、指揮者の視点から、その曲をどう見ているのか、
・・・等々を出し惜しみなく、たっぷり盛り込んだ、
徹頭徹尾〝宮本流〟の、他に類のない名曲案内本!


「この本を読んでも、役になんか立ちません。
……でも、きっと聴きたくなるはず。」(著者談)


★本文より抜粋


  オーケストラの首席オーボエ奏者としての三十年以上にわたる経験と、まだペーペーの新米指揮者ながら指揮台に立ってみて初めて見えてきたこと、言い換えれば自分が音楽の現場で〝体当たり〟で斬り込んで身につけてきたことばかりが、本書には遠慮なくゴッソリと盛り込まれています。
 では、独断と偏見と、音楽にたいする熱い愛とたくさんの音楽家たちとの思い出と、ほんの少しの成功と手痛い大失敗とに満ちた、ワン&オンリーの宮本流名曲解説――もはや解説の範疇から脱線してフィクションっぽくなっている部分(時代小説風だったり戯曲風だったり)がけっこうありますが、そこもあわせて――お楽しみください。
 ~「はじめに」より


 ちょっと恥ずかしいんですが告白しますと、じつは僕は指揮していてこの箇所に差しかかると、「気持ちいいッ!」って無意識に口にしちゃうことがしばしばあるんです。本番では大きく息を吸うとかしてなんとか口に出さないよう我慢してるんですが、練習だとつい……。そんなときオケのみんなは、「フフッ、宮本のヤツ、ここが『ツボ』なんだな、そんならもう一丁気分よくさせてやるか!」ってな感じでさらに熱を込めて演奏してくれます。いや、ありがたいことです。 
 ~第1章「モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136」より


 展開部にもこれまた難関が待ち伏せしています。
 とくに合わせるのが厄介なのが、第1楽章で一番の強奏部分(297小節め、参考CDの8分35秒あたり以降)。フォルテッシシモのトゥッティで、音域もハイトーン、ティンパニも連打しています。この箇所の、おもにヴァイオリンと木管が担当する「タンッタタ・ータタ」というリズムと、ホルン&トランペットが吹く「ンター・タータ」というリズムを合わせるのが本当に難しい。僕の少ない指揮経験からいうと、フォルテが3つも書いてあるし曲想的には指揮者が暴れたいところなんだけど、でもここはオーバーアクションは厳禁。機械的にとまではいわなくても、剣法でいうところの〝不動心〟で、振りを小さくして拍をきっちり打つ。そのほうが絶対うまくいきます。一度練習のときにエキサイトして暴れたら、グッチャグチャになったことがありました。僕がオケでオーボエを吹いているときも、新米の指揮者がここで大暴れしちゃうことがしばしばあって。そんなとき彼は「僕の棒をよく見てください」って言うんだけれども、こっちは「オマエの棒を見てたらグチャグチャになるんだよッ」って思って吹いてました(笑)。ここは指揮者にとっての大きな関門ですね。
 ~第2章「チャイコフスキー:交響曲第5番」より


 「サヨナラを言うためにこの曲を選んだんだよ。マーラーの9番っていうのはそういう曲なんだ……」
 しかしそのときの僕は自分自身のことだけで精一杯で、そのひと言に若杉さんが込めた本当の思いを表面的にしか理解していませんでした。だから、若杉さんが涙で顔をクシャクシャにしながらこの曲を振っているのを見て驚き、「若杉さん、本当にウチのオケを愛してくれていたんだな……」と衝撃を受けたんです。
 その後僕はこの曲を何回も演奏しました。小澤征爾さんとアメリカ・ツアーをしたときもこの曲を吹いたし、一九九一年にベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団の日本ツアーの際にサントリーホールでライブ録音をしたときもこの曲だった。どれも素晴らしい演奏だったけれど、最も印象的だったマーラーの交響曲第9番は?と訊かれると、どうしても若杉さんの――しかも僕自身はそれに参加していない――演奏、ということになってしまいます。
 ~第7章「マーラー:交響曲第9番」より


 高校生のとき、この曲に勇気づけられてプロの音楽家への長くて急な上り坂を登りはじめ、プロになって一年めに、感動を噛みしめながらこの曲を吹いた。そして指揮者としての活動を始めたいま、実際にできるかどうかは別として、この曲を振ることを最終目標として掲げないわけにはいきません。この曲を指揮してこそ、あの当時自分を励ましてくれたことに対する恩返しができる(下手にやると恩返しにならないんですが)。
 もしそのときが来て、僕の指揮するブルックナーの交響曲第8番が、かつてこの曲が僕を勇気づけてくれたように、今度は僕以外の誰かを勇気づけることになれば、そのときこそ僕の音楽人生のすべてが完結する――そんな気がしています。
 ~第8章「ブルックナー:交響曲第8番」より

 


■著者:宮本文昭(みやもと ふみあき)
1949年東京生まれ。18才でドイツに留学。フランクフルト放送交響楽団、ケルン放送交響楽団、サイトウ・キネン・オーケストラなどの首席オーボエ奏者を歴任。ソリストとしても世界的な名手として絶賛される。国内ではテレビドラマや映画のテーマ曲、CM出演等によって、幅広い層のファンを獲得。2007年3月、オーボエ奏者としての演奏活動にピリオドを打ち、現在は、指揮者として活躍するほか、東京音楽大学教授としての後進の指導、テレビやラジオへの出演、執筆、講演活動などにも精力的に取り組んでいる。
ヴァイオリニスト宮本笑里の父。
著書に『オーボエとの「時間(とき)」』(時事通信社)、『疾風怒濤のクラシック案内』(アスキー新書)がある。

宮本文昭★公式Webサイト→http://www.miyamotofumiaki.com/

 

 

 

 

 

 

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